法話とお遍路体験

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先日、四国の善通寺に行ってまいりました。ご存知の通り、善通寺はお大師さんがお生まれになった場所に建てられたお寺です。お大師さんのお父さん、佐伯氏のお名前にちなんで善通寺という名前になったと云われています。その場所で、今年は年1回の住職塾の集いを催されるということでしたので、せっかくの機会だからと思い参加してきました。電車で瀬戸大橋を超えると四国に入ります。岡山駅で新幹線を降りて、在来線の特急「南風」(なんぷう)に乗り換えておよそ1時間で善通寺駅に到着します。朝一番の新幹線に乗れば、お昼には四国に着く、というのは意外でした。案外近いんですね。

到着すると一緒に学んだ方との再会のあいさつもそこそこに、法話会が開催されました。宗派、年齢、経験もそれぞれに違う僧侶のお話を10人分、一気に聞ける機会はなかなかありませんから、いい勉強になりました。私も持ち時間の10分で真言宗の端くれとして「お大師さんに導かれて」と題しお話をさせていただきました。演壇に立たれた皆さん、それぞれのお人柄がお話に反映されていて、いい勉強になりました。来場された方のアンケート結果も即日読ませていただくことができ、生の声はもっと勉強になりました。

翌日、早朝の朝勤行に参加した後、善通寺の境内を参拝させていただき、なんと、特別なお気遣いで五重塔まで拝観させていただくことができました。その後、待ちに待ったお遍路体験です。檀家さんからもお話しを聞いたりしていて、行きたいけどしばらくは無理だろうな、と思っていたのですが、その機会が望外に早く巡ってきました。天候は早朝から土砂降りだったのですが、出発の時刻には止んでくれる辺りがお大師さんの粋な計らいのような気がします。限られた時間でしたので3つのお寺を徒歩でお参りしました。道すがら「~のせったいあります」「~寺もうすぐですよ」の励ましの看板、「おいしいいちじく」の直売所、お遍路が根付いているのが少し歩いてもわかる小路を行きます。後ろを振り返ると瀬戸内海、関東ではあまり見ない切り立った山の稜線、ちょうど稲穂が実ってきた豊かな水田、雄大な景色に「空海」とご自分で名乗られたお大師さんのこころを垣間見た気がします。道中一緒に歩いたお仲間と自己紹介から、近況、昨日の法話のこと、家族のこと、ディープなお寺の話までずいぶんとお話しました。これこそお遍路の醍醐味なのかもしれません。「同行二人」と言いますけれど、実際にはお大師さんに背中を押されながら、せったいに感謝、出会った人に感謝、この機会を与えてくれたすべての人に感謝、そして、感謝に気付く自分にまた感謝。二人ではなく多くの人と一緒に自分のこころ模様を見つけて、リセットして、描き直す「ほとけの道」、それがお遍路なのでしょう。時間が許すことなら、体力があるうちにすべて回ってみなくては!と帰りの「南風」で白波打ち寄せる瀬戸内海を見下ろしながら決意したのでありました。

このような機会を企画してくださった未来の住職塾事務局の皆様、善通寺職員の皆様ありがとうございました。

善光寺如来護摩法要 無事成満いたしました

去る8月20日(土)善光寺堂にて善光寺如来護摩法要が修法され、無事に成満しました。当日は台風の接近に伴う雨が降ったり止んだりする生憎の天候となりましたが、法要が終わりを迎えるころには如来さまに心が通じたのか雨も止み、子供たちの声が境内に響いていました。当山の善光寺如来は開山上人浄蓮房源延が長野の善光寺如来を一髪に至るまで違わず模写して松田山に安置し、鎌倉幕府 北条時頼公も厚く信仰されたという由緒正しき如来さまであります。およそ800年に渡り人々の願いを聞き続けてきた如来さまに今年も6月から準備をしてきた護摩札を加持祈祷して皆様の家内安全・息災延命・交通安全・商売繁盛を祈願いたしました。
法要に先立つ「写経の会」は今年で14回目を迎え、20名ほどの参加者が一心に筆を走らせていました。本堂には寺宝展示としてお地蔵さまをお迎えして参拝された方が手を合わせていました。ちょうど今年最後の蓮の花が散ったので花びらをお供えしてお地蔵さまに座っていただきました。
悪天候の中、ご来山、ご祈祷いただいた皆様、準備から片付けまで万難を排してご協力いただいた世話人の皆様、またお足元の悪い中、法要に出仕いただきましたご住職様、ありがとうございました。

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地蔵菩薩半跏像

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写経の会のようす

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善光寺堂

お盆はまごころの原点なり

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明日から15日までこの地域ではお盆です。ご存知の通り、ご先祖の御霊がこの時期だけ帰って来ると云われています。最明寺でも精霊檀を設け、お供物や花をささげて読経し、帰ってこられたご先祖を供養します。ご家族はお寺にお参りしてご先祖を迎え、住職はご自宅に伺って供養をします。この3日間、額に汗して歩いている、自転車やスクーターに乗っている、車の中でおにぎりを食べている、お坊さんをよく見かけるのはみなさんご承知の通りです。檀家さんはこの日のために、お墓を掃除してお花を供え、ご本尊に手を合わせて御霊を迎え、ご自宅では精霊棚を飾って御霊が休まれる場所を整えます。大変なようですが、ここに日本ならではの「おもてなし」「心遣い」「まごころ」「感謝」の姿勢が凝縮されているように思います。人との繋がりが希薄になったと云われて久しい現代、ともすると自宅で客人をもてなす、という機会は減ってきていることでしょう。そんな時代だからこそ、他でもない自分の先祖のために汗を流して掃除をし、感謝の気持ちをお供物に表すということは、以前よりも「功徳を積む」という意味において大切なのではないか、と思います。最明寺の墓地はほとんどのお墓がきれいに掃き清められてお花が飾られ、仏さまを迎える準備が整ったようです。皆さんの仏心に感謝、そのように育んでくださったご先祖の慈愛に感謝、私たちを導いてくださったご本尊に感謝です。

夫れ 仏法遥かに非ず 心中にして即ち近し

よきお寺とつながるサイト「まいてら」に住職が弘法大師のお言葉について取材を受けました。住職が実際に体験したお大師様のお言葉についてお話しさせていただきました。題字も書きました(汗)。修行やお寺での生活で初めて感じたことは偶然にも弘法大師の言葉がピッタリと当てはまることでした。あなたにも、私にも仏さまになっている瞬間があるというのです。出来ることならば、自分はもちろん、身近な人や、森羅万象に仏さまが宿っているその姿に気付くことができる自分でありたいものです。

夫れ仏法遥かに非ず 心中にして即ち近し ‐ 最明寺 住職 加藤宥教さん (神奈川県足柄上郡)

「まいてら」とは良きお寺とつながる安心を届けるため、一般社団法人お寺の未来様が作られたポータルサイトです。「安心お寺10ヶ条」を掲げ、独自の視点でお寺を紹介されています。最明寺もHPやパンフレットの作成、またご縁きっかけとなった「未来の住職塾」でお世話になったこともあり、紹介していただいています。
http://mytera.jp/

境内整備奉仕活動

境内整備の奉仕活動を総代さんをはじめとする檀家有志にて行いました。今回のメニューは境内地と民家の地境に生えた竹の伐採と草刈り、および駐車場脇の枯れた杉の木の伐採です。その手のプロとセミプロ?の集団はとても手際よく、仕事を進めてくださいました。枯れた杉の木は倒れると電線を切ってしまう恐れがあったので少し前から気になっていたのですが、おかげさまでその心配もなくなりました。竹切もみなさん鋸と鎌に慣れた方でしたので黙々と作業を進めて下さり、想定していたよりずっと早く終了しました。みんなで協力して、楽しみながら境内の景観を維持していく、そういった姿に一歩踏み出せたのではないかと思います。何しろ仏さまの目の前ですから。作業後のみなさんの笑顔と汗が美しい。ちょうどこの日に今年最初の蓮の花が咲いてくれました。総代さんのお声がけに応えてお集まりくださったみなさま、ありがとうございましたこれからも定期的にこういったお願いをすることもあるかと思いますが檀家の皆さまのご協力、ご参加をお願いいたします。いい汗かいて仏さまも喜んでご自身もきっと笑顔になれる、そんなオシゴトが待っています!

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今生の別れ。根性の別れ。

週末はとてもよいお天気で真夏のような暑さになりました。7月に入った途端のこの暑さは体に堪えたという方もいらっしゃったのではないでしょうか。当山でのこの時期の晴れの日といったら「草むしり」or「草刈り」です。細かい苔の中や中庭の草やらは女性陣の匠の技にお任せして、住職は草刈機2号(マサオくん)の担当です。プラグと欠けにくい刃に換装して絶好調のマサオくん。4月から6月まではひと月に1回で済みますが、7月からは2~3週間に1回ぐらい刈らないとどんどん草が茂ってきます。伸びてしまった草は草刈機に絡みついたり、地面の石やくぼみが見えなかったりして危険なのであまり伸びないうちに刈ったほうが楽なんですよね。草の生命力との根競べです。燃料切れになったのでちょっと座り込んで休憩していると「チチチチッ」と鳥の鳴き声がします。電線の上にツバメがひ~ふ~み~っと6羽止まっていてなにやら騒がしい。ちょっと小さいかな・・・どうやら今日が巣立ちの日だったようです。そういえばあの声は親がご飯を運んできたときに鳴く声と同じでした。どこか近くにあった巣から巣立ちして間もないのでしょう、飛ぶのもあまり上手ではないみたいで地面に降りてきたり、着地が下手で、はたから見ていても危なっかしい。この辺は最近猫が多いんだけどな、なんて心配になってきます。みんなで鳴いて親ツバメを呼んでいるのでしょうが、いくら鳴いても親ツバメはもう飛んできません。10分ぐらいはこの状態が続いたでしょうか。諦めたのか、はたまた意を決したのか、勇気を出して一羽が飛び立ちました、がまた戻ってくる。同じのがまた飛び立って、戻ってくる。そして遠くからトラックのクラクションが響いた瞬間でした。全員が飛び立ち、2度と電線には帰ってきませんでした。

彼ら兄弟、親子にとってはおそらく今日が今生の別れ。来年すべての雛が戻ってくるとは限りません。たった20日間の家族の生活、親から餌を運んでもらえる生活を終えたら、いきなり自分で餌を採り、身を守り、渡りを覚えて文句も言わず飛んでいく、なんて逞しい、なんて厳しい世界でがんばっているんだろう、と24年も親のすねかじりして生きてきた自分をちょっと反省しました。来年大きくなって戻ってきたツバメを見れたらいいな。しかしどうして誰も教えもしないのに渡りが分かるのか、巣の作り方が分かるのか本当に不思議です。

草刈り終わってない・・・。

おてらおやつクラブ

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先日、今月分の「おてらおやつクラブ」発送を行いました。(写真は5月の発送時)

寺報「蓮台」や檀徒総会でもお話しさせていただいたこの活動は、ひとり親家庭の子供たちにお寺の御供物などを支援団体(NPOなど)の後方支援として「おすそわけ」する慈善活動でございます。最明寺では昨年の2月からお手伝いさせていただいております。新聞やTVなどの効果もあり、参加寺院が増加していて、全国で374ヶ寺、3000人以上の子供たちに定期的におやつが届けられています。子供貧困とは無縁のように思えるこの国で、おやつや支援を待っている子供が確実にいるという現実を改善する一助となれば、と思います。

最明寺でも檀家さんが発送のお手伝いに来てくださったり、物資のご支援を申し出て下さる方が少しずつ増えています。来月は21日(弘法さんの日)に発送を行いますので、ちょっとお寺に涼みがてら、仏さまと子供たちをつなぐこの活動にご参加いただければ、と思います。

おてらおやつクラブについて詳しくはこちらをご覧ください。 http://otera-oyatsu.club/

紫陽花

境内の紫陽花が見頃です。写真は階段脇のブルーの花。ひとことで紫陽花といっても花の色、大きさ、たくさんの種類があるようで当山の紫陽花も赤、白、青、紫など様々です。花が終わると来年の花芽が下にできているので花をたくさん咲かせて楽しむためには剪定が欠かせません。梅雨の間は花が少ないのですが、雨の中映える淡い色の花がきれいですね。明日は夏至。ずいぶん日が長くなりました。夏本番はすぐそこのようです。

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宗祖弘法大師誕生会

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昨日、真言宗教津会の「宗祖弘法大師誕生会」(たんじょうえ)が下大井の保安寺で開催されました。この法要は宝亀5年(774年)6月15日にお生まれになった真言宗の宗祖弘法大師空海の誕生を祝い、私たち自身がお大師さまの教えに感謝する法要です。法要では祭文(さいもん)というお大師さまの功績を称える経文を声高らかにお唱えし、甘茶を注いで手を合わせます。弘法大師は遣唐使として唐に渡り、恵果阿闍梨から真言の神髄を伝授されました。数多の弟子の中からただひとり、真言のすべてを授かった空海は日本に戻って真言宗を開かれました。それから1200年以上たった今も、空海が嵯峨天皇から下賜された本山の東寺(教王護国寺)は伽藍を保ち、講堂の立体曼荼羅は私たちに空海の教えを語りかけ続けています。数あるお大師さまの教えの中で、拙僧のような者でも素晴らしいな、と思う言葉があります。「即身成仏」という言葉、お聞きになったことがある方も多いことでしょう。あなた自身がありのままのその姿で仏さまになれるというのです。私たちにはいろいろな側面があります。喜怒哀楽、感情と共に心は揺れ動き、月のように満ちたり欠けたりするものです。しかしながら、仕事に真剣に取り組んで何かを生み出しているとき、子や孫、あるいは動物や花を慈しみ、その美しさを感じている刹那に、自分でも気づかないうちに仏さまのようになっている、そんな時があるのではないでしょうか。その瞬間を感じて、また、感じることができるようになるように、精一杯生きてみなさい。お大師さまはそうおっしゃっているような気がするのであります。

梅雨近し

Facebookにも投稿しましたようにホタルが舞い始めました。数は少ないですが毎年柔らかい明かりが林の奥や紫陽花の葉から見えて梅雨が近づいているのを感じます。いつも追いかけようとせずともホタルのほうから飛んできてくれるのがとても不思議です。誰かが逢いに来てくれているのでしょうか。清い水がないと育たないというホタル。いつまでも仏さまのまなざしのような優しい光で境内を照らしていてほしいものです。