ホタルのポスト

長雨がようやく止んで、梅雨明けが近づいてきているようですね。お寺もセミの鳴き声が聞こえてきました。Web蓮台は間が空いてしまいましたが、その間に檀家さんや善光寺如来の信者さんへのお盆や護摩法要の連絡を発送を行っていました。今年は例年の通り、とはいかずコロナの感染拡大を防ぐため、盆棚経は新盆のお宅のみに限定して行うことになりました。護摩法要もお堂が密になってしまうため参拝はご遠慮いただき、写経の会などのサテライトイベントは中止することになりました。
 さて、今日の題名にした「ホタルのポスト」は、主に新盆の方に書いていただいている、仏さまへのお手紙を投函していただくポストのことです。最明寺の境内は2本の小川に挟まれています。根岸山に降り注いだ雨が清水となって流れており、その水は上下水道が整備されるまでは簡易水道として生活用水になっていました。その小川には5月の終わり頃からホタルが飛び始めます。ゆらゆらと弧を描きながら墓地との境界でもある小川の上を飛ぶホタルを眺めていると、まるで彼岸と此岸を結ぶメッセンジャーのように思えてくるから不思議なものです。そんな想いから生まれたのがこのポストでした。指先で、予測変換、自動翻訳、瞬時に送信、返信、が可能になった今、自分で言葉を選び、ペンや鉛筆、筆で手紙をしたためる、というのは思っていたよりずっと送り主のことを考えないとできないものです。その手間暇が、言えなかった言葉、伝えられなかった言葉、聞きたかったことなどを心から紡いで文字の糸ができ、仏さまへ繋がっていくのでありましょう。糸の先っぽはホタルが運んでくれて、見えない糸電話でつながっているかのように。
今年はコロナ禍ということもあり開催できませんでしたが、来年はお手紙を書く催しもきればいいな、と思います。