暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言いますがお彼岸に入ってからは春の暖かさを感じます。早咲きの桜が境内を彩っています。染井吉野はもう少し先でしょうか。今日はお彼岸のお中日(おちゅうにち)ですね。先日の入りの日から、当山にも檀家さん、ご家族の方がたくさんお墓参りにいらしています。住職と大黒にとっては庫裏の玄関先でお茶を飲みながら檀家さんと畑や世間話をするのが楽しい1週間です。お中日は春分の日、つまり昼夜の時間が等しくなる日でもあります。ちょうど真ん中の日、つまり「中道」(損得勘定や苦楽、善悪を区別する人間の知恵から解脱する)というお釈迦様の教えの一つになぞられて、この時期を「お彼岸」と呼ぶようになったとか。その根底にあるのが「到彼岸」を実践するという考えです。「到彼岸」(サンスクリット語でパラミータ)とは彼岸に到達する、すなわち迷いのない仏さまの世界(彼岸)に行きましょうということです。その為に実践しなくてはいけないことが六波羅蜜(6つのパラミータ)と言われていて・布施・持戒・忍辱・精進・禅定・知恵の6つとされています。これらを実践していくなかで、お寺にお参りして手を合わせる、布施をする、先祖のお墓にお参りして自分を律する、といった習慣が形成されていったと思われます。お彼岸の習慣はインドにも中国にもないそうで、日本独特のものなのだそうです。日本独自の太陽信仰や水田、農耕にとって春分、秋分の日が重要であったことが、おなじみの「お彼岸」を生み出したのかもしれません。
入りのぼたもち、あけ団子、中の中日あずき飯 というのは近代の習慣なのでしょうね。