ホタルのポスト~仏さまにお手紙を~ 開催しました

今から二十年ほど前、最明寺境内の大杉(樹齢五百年以上)が枯れました。ちょうど客殿建設の計画中であったため、先代住職宥真師は「余すところなくわが身を使え」との木の意志であると確信し、客殿の扉、天井、位牌堂の壁板などにこの大杉は使われ、新たな場所で最明寺を支えてくれています。この「ホタルのポスト」はその杉の残りと、階段脇にあった欅を同じように使って完成しました。昔から木には魂があるといいます。寺の木は私たちよりもずっと前から階段を登る人、境内にお参りに来られたご先祖を見守ってきたはずです。小川のホタルもまた同じようにご先祖が見てきた光、風景です。物言わずとも木を介して私たちは知らず知らずのうちに先祖と繋がり、関わりのある人々に見守られているということでしょう。

このポストに投函されたお手紙は誰も読まないお手紙。仏さまだけが読むことができます。何を書いてもかまいません。誰にかいてもかまいません。ありのまま、自分の気持ちを文字に表すことで自分のこころもようを知り、仏さまに想いを伝えてほしい、そんな願いを込めてこのワークショップを開催しました。

初めての試みでしたが、5歳の子供さんから70代の方まで15名の方が参加され、新盆を迎える仏さまにようやく落ち着いて伝えられる言葉、20年経って親になり、親の気持ちが分かるようになって初めて伝えられる言葉など、おひとりおひとりの立場で一つ一つ言葉を便箋にしたためていました。ホタルの明かりにたとえたキャンドルと一緒に投函した後は、しばし歓談して暗くなるのを待ち、皆さんでホタルを鑑賞しました。初めて見て感動した!という方もいらっしゃいました。

「このホタルおじいちゃんかも!」

手のひらにとまったホタルへかけられたこの言葉!ご先祖と繋がった瞬間ですね。